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読書三昧 -その5-

『D - ダークロード1,2』/菊地秀行 ???

 この人の作品は1巻で完結することは滅多に無いな.さらに以下続刊.

『桜闇』/篠田真由美 ・★★

 建築探偵短編集.一気に10編も読むと,ようやく「建築探偵」というサブタイトルが成る程と頷けるようになった.特に二重螺旋4部作は秀逸.建築の妙を感じさせる.少しずつではあるが,建築物に対する興味も出てくると言うものだ.

「与えられることを知っていても,自分から愛することを知らない人は子供よ.いくつになってもね」

『彼岸花』/長坂秀佳 ・・・

 ゲーム「弟切草」の原作者によるホラーミステリー.『弟切草ワールド三部作』の第2弾だそうで.偶然同じ新幹線に乗り合わせた3人の女性が,京都で仏閣参りをするうちに妙な女に付けまわされ,道に迷って辿り着いた寂れた旅館で恐怖の体験をする.まぁ,ありがち.最近流行のサイコとホラーとミステリーをごっちゃにした作品.期待はずれ.さすがテレビの脚本をやっていただけ有って,流行りモノを寄せ集めれば面白いものが出来るだろうと言う安易な考えが見え隠れしている.何もかもが,やりすぎで出来過ぎ.小説として読むにはちょっと幼稚.

「キミの推理はアナだらけ.角川ホラー文庫ならとッくにボツにされてるね!」

『斜め屋敷の犯罪』/島田荘司 ・★★

 御手洗潔が活躍する推理小説.相変わらず主人公が登場するのは物語後半から.だが,この《奇人》御手洗の突飛な言動はそんじょそこらの人間には真似できない.久々にミステリーで爆笑させてもらった.
 物語は最果ての地に建つ,斜めに傾いた屋敷で起こる密室殺人事件.なかなか壮大な話で,推理クイズが得意な人は挑戦するのも良し.

「ずっと金を握らずにいれば,手の肌も荒れません」

『仮面の島』/篠田真由美 ・・★

 建築探偵,第8弾.今回は日本を飛び出してヴェネチアへ.現地で大きなトラブルに巻き込まれるわけだが,いまいちメリハリというか納まりが悪い.これは作者がヴェネチアで一本書きたかったからだけの企画モノだろう.推理小説としての評価は低い.まぁ,桜井君が活躍してくれれば,速鳥は構わないのだが.

「あなたが絶対どこにも行かないように,あなたを縛り付ける鎖が欲しかったの.愛よりも強いものが」

『夏のレプリカ』/森博嗣 ・★★

 速鳥が勧めるまでもない人気作家,森博嗣の98年の作品.相変わらず知的な文面ではあるが,推理小説としては反則.読者は最初から主観でしかモノが見られないからだ.しかし,だからといってこの作品の評価は下がる事はない.理詰めな推理小説ではなく,曖昧模糊とした哀しいお話として読みましょう.タイトルも良い感じ.

 面白いことに本作には偶数章しか存在しない.同時進行する別の事件を奇数章に記し,姉妹作として別に刊行しているためだ.こうなると,併せて読まずには居られなくなる.

あのとき,確かに清々しい感じがした.だが,あるいは,それこそが狂気の正体なのかもしれない.

『御手洗潔のダンス』/島田荘司 ・★★

 と言うわけで,またしても御手洗潔モノの中編集.うち2本が浅草が舞台と言うこともあって,興味深く読ませて貰った.長編とは違い,いずれもかなり軽めの物語なのでサクッと読める.その分ミステリーとしてもやや軽くなって居るような気もするが.まぁ,御手洗君が活躍してくれれば,速鳥は構わないのだが.すっかりファン.

「ある種の自信家の女性というのは,自分の周囲にいる男のうち,どれが一番優秀かを常に気にかけているものなんだよ」

『寄生木』/長坂秀佳 ・・・

 『弟切草ワールド三部作』の第3弾.面白くないことは読む前から分かっていたのだが,怖いモノ見たさにも似た誘惑に勝てず読んでしまう.そして思った._やっぱり読んで損した.
 1ページ目からいきなり著者自身が登場し,読む気を削ぐ.舞台は代われど内容は『彼岸花』と大差無い.ミステリーとしてはいい加減だし,ホラーの雰囲気はまるで無し.自信を持って,星無し.『弟切草』の方も推して知るべし.

「近ごろの事件はケイサツが70%は犯人だよ.銀行の80%は破産寸前だし,病院の90%は医療ミスやってんのよ」

exit
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