古本屋で買ってきたものなんで刊行がすでに3-4年前のものだが,軽く読み流す程度にはと思い購入.基本的にテレビで放映されたものを脚本家自身が小説化したもの.しかしながら例の今泉君は出てこないし,田村正和の独特の語り口も伝わりにくい.すでに放映済みのものを5話ずつ収録したものなんで,コレクターじゃなきゃ買わないでしょ.
・・★:面白いが,やっぱりオリジナルは映像.まずはビデオを見よう.
主人公の地方主席検事補が,担当していた同僚女性殺害事件の犯人として起訴されてしまう話.主人公と問題の女性とが不倫関係にあった事実や,上司の地方検事予備選挙,被害者が調査中であった検事局の不正事件など多くの問題が見え隠れしつつ1年に渡る裁判が始まった.... しかし,この内容にハードカバー上下2巻は多すぎ.だらだらと話が続く感が拭えない.純粋に法廷モノとして楽しむには良し.でも推理小説では,無い.この後に何かあるかも...とゆーのは思い過ごしの期待はずれだった.
・・・:一時ブームになった法廷モノ.アメリカの陪審員制裁判に触れるには良いかもね.
もはや解説不要の作品.貞子も有名人になりました.速鳥は原作を読んだあとにビデオの「リング」をみたんですが,テレビから出てくる貞子に「あんじゃこりゃあ!」でした.「リング」は純粋にホラーとして楽しめるけど,「らせん」の方はこじつけ謎解きみたいでちょっと興ざめかな.
リング0ってのもあったみたいだけど,いつまで続くのかねぇ.
リング ★★★:速鳥はこれを読んで,ホラー小説にはまりました.珠玉の一冊.
らせん・・ ★:もはやホラーではない.
世の中にはとんでも本が出版され,平然と書店に並んでいる.そんな本を紹介している.世界経済は秘密組織に操られていると告発するものから,ネコの写真を載せて宇宙人と言い張る主婦まで,とんでもない事を真面目に本にしているあたり,笑いを誘わずにはいられない.こんな本が出版されることを自由と喜ぶべきか,世も末と憂うべきか?
★★★:普通の人にこのおもしろさが分かるか不安だが.
かつて四国は死国だった.都会生活に疲れた女性主人公は,幼少の頃を過ごした四国に静養にやってくる.そこで彼女は,かつて仲のよかった女の子が死んでいたことを知らされたが,その母親は死者を生き返らせようと<逆打ち>を行っていた.
四国八十八カ所巡りを題材にした和風ホラー.が,四国が死人で溢れるなんて,ホラーの雰囲気ぶちこわし.いまいち,ホラーとしての盛り上がりに欠けるんだよねぇ.まぁ,このへんは好みって事か.
・・★:日本風というだけども,貴重な作品ではないだろうか.
古くは[世にも奇妙な物語]から始まり独立したTVドラマにまでなった,二人の超能力兄弟の流浪の様を書き綴った作品.2巻は,超能力兄弟の幼少時代の苦悩,そして高校生の連続自殺事件の調査から新たな事件に巻き込まれてゆくさまが描かれている.
巻末の鈴木光司の解説も読むべし.
・・?:2巻だけじゃ何とも.一気に全巻読みたいところ.
映画でやってるのを知って思わず買った一冊.ホラーと思いきや,ただのサイコサスペンスだった.主人公が生命保険会社勤務ということから,幾つかの業界の内輪的なエピソードには興味を引かれる.しかしこの設定も,物語の導入に必要なだけで本編にはほとんど関与しない.もう少し生かして欲しかったかな.サイコ物としても‘保険金が欲しいあまりにちょっとおかしくなってる’程度でインパクトが弱い.でも場面描写はなかなか良く,サスペンスとしては結構のめり込む.
・★★:ケチつけてるけど,悪くはない.
これまた有名,赤川次郎の代表作のひとつ『三毛猫ホームズ』シリーズ.片山兄妹,ホームズ,石津刑事とは,10年以上の付き合いになる.中でもこの心中海岸は,恥ずかしながら速鳥が初めて本を読んで涙した作品.最後の2ページで泣かされる.巷はハッピーエンドで溢れているが,たまには悲しい結末も良いんじゃないだろうか.
★★★:三毛猫ホームズをご存じ無い方は,他の作品を読んで片山兄妹と親しくなってから.
おっとり長女,しっかり次女,がっちり三女の三姉妹.寝ているところに放火され家が全焼.何故か出張中の父親の部屋から女の刺殺死体が出てくる.当の父親は行方不明で全国指名手配され,警察は当てに出来ないと三姉妹が父親の濡れ衣を晴らすため独自調査に乗り出す.
個性的なキャラクター,軽快な展開.赤川作品らしい軽めの作品で,万人向け.これもシリーズ化され,以後父親が出張中に限って様々な事件に巻き込まれている.
・★★:赤川次郎作品全般に言えるが,安心して読める.
魔界都市<新宿>において手を出してはならない人のひとり,メフィスト病院院長.死者をも生き返られると言われる腕をもつが,自分の患者以外には非常に冷酷.奇跡の腕であらゆる患者を治療するアクション小説.ブラックジャックを連想してはいけない.
・・★:菊地作品が気に入ったらどうぞ.
魔界都市<新宿>で,せんべい屋のかたわら人捜しを請け負う秋せつらの物語.<新宿>に住まう人々の,様々な悲しみに触れる短編集となっている.
★★★:強く美しい男は菊地作品の共通点.
何千年かの未来,或いは過去.超高度文明に繁栄していたのは人類ではなく貴族と呼ばれるバンパイアであった.やがて人類はその支配から立ち上がるが,独立と同時に大いなる恩恵も失った.人々の文化は中世期並の生活にまで後退し,今なお貴族をはじめとした妖物を恐れながら暮らさなければならず,それに応じてハンターと呼ばれる職業が出来た.バンパイアハンターとして辺境を旅する“D”は,依頼があれば剣を抜いて旧支配者である貴族に立ち向かう.
・★★:まさに「かたゆで卵」.独特の世界観に注目.
高校生・八頭大は世界5本の指にはいるトレジャーハンター.お宝目指して世界中を駆け回る.速鳥が最初に触れた菊地作品が『エイリアン』シリーズだった.アクションあり,お色気あり.高校生にはもってこいの娯楽本.
★★★:お宝探しは男のロマン.
何の因果か人並みはずれた能力を持ち,おまけに竜に変身する4兄弟が,世界経済を操る秘密組織と対決するアクション小説.都庁を壊し米軍基地を壊滅させ,ベイブリッジ(だっけ?)を落とすという暴れぶり.まぁ,竜に変身するくらいだから何でもあり.超人4兄弟のアクション,自己を曲げない,毅然とした主人公たちの態度.正統派.また所々で出てくる「先生」と呼ばれる立場の人間たちへの強烈な批判がなかなか...
・★★:“龍に変身”に抵抗がなければ.
未だかつて,ここまで科学的なホラーがあったろうか.巻末に生化学用語集があるなんて! 理系人間,特に同分野の人には身近なものとして楽しめるだろうが,逆に文化系な人間には読むは辛いかもしれない.また,化学化学しているところが,ホラーとしての雰囲気を幾分か奪っているようにも感じられる.
・★★:読む前に,ミトコンドリアが何かくらいは知っておいた方がいいかな.
鬼才,京極夏彦に初めてふれた作品.ただの妖怪ものホラーかと思いきや,いわゆるミステリー小説.しかしながら,全体としての不可思議な雰囲気を壊すことなく読み進められる.独りで突っ走って,渦中の人となってゆく関君があわれ.また,序盤の京極堂の講釈は,新たな認識を与えてくれる.
★★★:だてに分厚い本じゃない.読破すべし.
大学に通い,連続殺人に手を染めるミノル,息子が殺人を犯しているのではと疑う母親,知人を殺され,捜査に乗り出す元警部.この三人の視点での叙述で進む物語.愛している故に殺さなければならない,真実の愛を求めてミノルは街を彷徨う.
最初にミノルの逮捕シーンから始まるが,犯人が分かっていながらなお,最後には驚くべき結末が待っている.しかし,この内容で長編は長すぎだった.中だるみする.
・★★:全くもって,驚きのオチ.
互いが微妙に関連した4つの中編集.作者の凝った演出はかなり頭を使い,作品の奥底にある意図をつかむのは用意ではない.中編のうちひとつ,分裂した4人の木村君のうち,ひとりが殺されてしまう話は奇妙なおもしろさ.
・・★:“問題”に挑戦する意気込みがあるなら.
ロバートブロックの作品を読みたくて借りた一冊.しかし,当の本人は編者だった.様々な作家による,当たり外れのある短編集.
・・★:特にこれってものは無かったな.
副題:薬師寺涼子の怪奇事件簿.警視庁刑事部参事官お涼はまさに女王サマ.上司といえども彼女には逆らえない.警備に出かけたビルのレリーフに掘られていた怪物が復活し,こいつを取り押さえるため駆け回る.
怪物に生身の人間が立ち向かうってところはともかく,これでもかと言わんばかりに高飛車なお京に肩入れできるかどうかが境目.
・★★:速鳥は好き,わりと.
天界から研修に出された天使と地獄から追い出された悪魔が,女の子と黒犬に化けて人間界で生活する.第一作は世話になっていた刑事が殺人犯として追われ,それを助ける話.赤川次郎らしい,軽快な作品.ほのかな刑事への好意が切なさを残す.
・・★:赤川作品は,安心して読める.
当たり屋の末,お屋敷に住み込みで働く事になった天使と悪魔のコンビが,あろう事か泥棒の手助けをするという問題(?)作.あれこれ問題が起こるなか,大円団に終わるのも赤川作品らしさ.
・・★:シリーズものともなれば,なおさら安心して読める.
アルバイトで日銭を稼ぐ一人と一匹,新しいアルバイトは‘教祖の影武者’だった.天使をつけねらってるはずの悪魔の,ちょっとした心変わりに注目して欲しい.
・★★:ここで悪魔の株も上がる.
秋せつらの長編物語.米軍海兵隊により,チベット奥地で発見されたのは〈魔震〉そのものだった.魔震の謎に迫ると言いつつも,結局なんだか分からなくなってしまう.続刊.
・・?:読みが足りなかったかな.
寂れた村で起こる殺人事件をあつかった推理小説.しかし,あまりの小手先だけのトリックにびっくり.推理小説なら,読者に足跡や伏線ぐらい見せておかなきゃだめだろ.
・・・:殺されたのが意外な人だった.それだけ.
おなじみの分厚さで迫る短編集.前述『姑獲鳥の夏』にも触れる作品もでてくるので,そちらを先に.妖怪は,すぐそこにいる.
・★★:長編の方が好きだけど.